吉田君(大阪市大・岡田研)の成果に関する論文が Bull. Chem. Soc. Jpn. にアクセプトされました。
2019年08月19日
大阪市立大学岡田研時代の吉田君(博士・現大阪市立大学大学院理学研究科特任助教)の研究成果に関する論文が Bulletin of the Chemical Society of Japan 誌の Full Paper として受理されました。
Title: Structures and Electronic Properties of Diisopropylaminoborane Substituted with Highly Electron-Rich pi-Conjugated Systems and Their Oxidized States
Authors: Yoshida, Kohei; Suzuki, Shuichi; Kozaki, Masatoshi; Okada, Keiji
DOI: 10.1246/bcsj.20190199
トリメチレンメタン (TMM) 型のπ電子系をもつ BNNN 誘導体の合成とラジカルカチオンとジラジカルジカチオンに関する詳細な電子構造を実験的に明らかにしました。以前に報告したフェノチアジン三つをホウ素でつないだ誘導体に関する研究の続き(完結編?)です。当時から BNNN 型ジラジカルの合成・単離を狙っておりました。どうしてもπ電子系が混んでいるとできなかったので一つは着実に電子供与するであろうジアルキルアミノ基に置換しました。吉田君がフェノチアジン、ジヒドロフェナジン、フェノキサジンと岡田研らしいドナー性分子を設計、合成してくれました。残念ながらジラジカルジカチオンの単離まで至りませんでしたが、吉田君の継続的な努力でなんとか三重項種由来の信号を観測にこぎつけました。論文では B-N 結合に関する性質の詳細を記述しております。当時の吉田君と岡田先生との議論が成果となってよかったです。